人によってはトマーチンと言う。どこかのバーではラガブーリンをラガバリンと言うおじさんがいて気になって仕方がなかったが、所詮正解はないのでスルーしよう。
近所のスーパーでシングルモルトで唯一置いているのがトマーティンで、なんでかなとおもったら、宝酒造→国分グループという歴史があるんですね。
いただいたこちらは現行品の1つか2つ前のものですが、上品にシェリーの効いた大変おいしいものでした。
蒸留所の困難な時代にトマーティンは存続の危機もあったようだが、今の蒸留所長であるグレアム・ユーンソンという人の情熱が面白くて印象に残っている。
生まれも育ちもオークニー諸島であった彼は両親の勧めも断り頑なに島にとどまり大工仕事を続けるも怪我で挫折。53もの求人に応募するも、返事は2件だけ、スキャパ蒸留所で働きたくも、志願のウィスキー作りではなく貯蔵庫番、それからはこの道一筋に生きてきたそうだ。
そこからキャリアをスタートし少しづつ、製造や経営にも関われるようになるも、蒸留所が閉鎖
スキャパ(閉鎖)→グレンドロナック(閉鎖)→グレンモーレンジ→グレングラッサ・・・
そしてついにトマーティンで蒸留所長の職に辿り着いたという。
駆け抜けてきた閉鎖蒸留所の新しい所長は常にデレク・シンクレアという人でこの人に常に出世の先を行かれた。
そういうキャリアがある人だと信用できます。
そんなトマーティンの味わいは、素朴で丁寧、いただいた12年はシェリーが効いていましたが、ドギツイほどではなく、ふんわり優しく包み込んでくれる感じです。こんなハイレベルなスタンダードがあったんだな(やっぱり現行品と違います)と古いマッカランを飲んだ時と同じような感動を与えてくれました。
日本に多く流通していたものなので、手に入らなくもなさそうで、見かけたら即買いです。
べらぼうに高いマッカランよりもずっとお値打ちです。
グレアム・ユーンソンは男ですが、トマーティン 12年 旧ボトルは優しく優雅で上品なシェリーカスクですので
信頼できる女
というオチで終わりたいとおもいます。
ウィスキーに一途なその人生はなによりも信頼の証です。
名もない村が、ウィスキー造りの理想郷に。
トマーティン村。スコットランドの古語で、「ネズの木の茂る丘」を意味する村。ロンドンの北西約900km、標高315m、人口およそ500人。何もない村だった。しかし、ここにはいい水があった。モナリアス山系の複雑な地質を経て、静かに流れる清らかな小川。そして、良質のピート(泥炭)が産出された。気候、湿度など、すべてがウイスキー造りに最適な自然環境だった。いや、正確には、良いウイスキーを造り続けてきたことが、理想郷である証だった。変わらない、蒸留所の情熱とこだわり。
ウイスキーの仕込み水は、村を流れる小川から。「オルタ・ナ・フリス(自由の小川)」と呼ばれるこの小川の水は、まさに自然からの贈りもの。この水なくして、フレッシュでフルーティな香りは生まれない。そして、ここで産出されるピートなくして、まろやかな口あたりとバランスの良い味わいは生まれない。標高315mは、スコットランドのモルト蒸留所の中で、最も標高の高い蒸留所。蒸留所ブランド・アンバサダーのダグラス・キャンベルは、1961年からここでウイスキーを造り続けている、スコッチウイスキー界の重鎮。すべてが揃って初めて、トマーティンはトマーティンとなる。
参加無料
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