香港の一滴のしずく/エドラダワー SFTC マデイラマチュアード 10年

つかの間の香港の夜、b.a.r. Executive Barで最後にいただいたのがこちらです。
また戻ってしまいました。

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これが最高に美味かったのと、そう、根が貧乏性なので、荘厳なメニュー、荘厳な価格に腰が引けちゃったからであります。どんなに美味い至極の一杯でも、メシを超える価格は違うでしょ、というのが根底にあります。これでもう最後、想い出としては十分、明日は元気に帰国しよう。

飲みの席ではなぜか腹が空かないので、食事はいらない自分であるが、よくある生ハムの原木、これはイメージも加味されて実にウィスキーに合います。これもついでにいただいちゃいましたが、一体いくらするんだろう?

こういうものや、ビーフジャーキーなどの乾きもの系だけは大好物です。

さて、マルサラは家にあるからマデイラで・・・

自慢じゃないが若かりし頃、仕事でマデイラ島には行ったことがある。最西端の島、ナポレオンに所縁のある島、ワイン・・・このくらいの予備知識しかなかったが、そりゃぁ天国のような楽園でした。金持ちの避暑地かな。仕事で楽しむこともなく去ったが・・・あそこのワインかぁ、という憧憬だけはあります。

こちらも、シャルドネカスクマチュアードに負けないくらいフルーティーですが個性はシャルドネか

オレンジのようでもあり、レーズンのようでもあり、ハチミツ感も感じる、これまたいい出来。エドラダワーに色んな樽のウッドフィニッシュは合うのだと確信しました。しかし経験値の問題か、よくある似た味にも感じてしまい、最初の感動も相まって個人的にはシャルドネカスクマチュアードに軍配です。

マデイラの方がさらに濃厚でパンチは強い気がしましたが、島ものみたいに荒れ狂いません。落ち着いた味わいと余韻です。

以上、3杯、1時間弱で終えた香港でのバー体験、日本で過ごす半分の量、半分の時間くらいでしたが、お値段は倍くらいかかりました。それだけ、世界の金融都市香港は価格も勢いも日本を凌駕しているのかもしれません。

まさか、香港の地でエドラダワーにはじまりエドラダワーに終わるとは想像も出来ませんでした。
このスコットランド最小規模の蒸留所を益々好きになりました。

さらば香港、また逢う日まで・・・

エドラダワーはとても個性的な風味を持った、南ハイランド産のシングルモルトです。まるで乳酸菌飲料に石鹸と香水、そして硫黄を加えたようなアロマを放ちます。フレーバーはねっとりと甘いのですが、テクスチャーはぴりぴりしています。フィニッシュではナッティ(アーモンド?)な風味が喉越しに残り、暖かい余韻が後を引きます。

エドラダワー蒸留所があるのは、南ハイランドのリゾート地として知られるピトロホリーから3キロメートルほど東に行ったところ。北には標高841メートルのベン・ブラッキー山を臨み、仕込み水にはこの山の湧水を使用しています。

この蒸留所は、かつてはスコットランドで最も小さな蒸留所として知られていました。年間の生産量は90,000リットルほどで、この数値は平均的なスコットランドの蒸留所のわずか30分の1(およそ1週間分)に過ぎません。ちなみにポットスティルの容量は、密造を防ぐために下限が2,000リットルと法律で定められていて、エドラダワーのポットスティルの容量はまさに2,000リットルなのです。ですが現在は北ハイランドのロッホ・ユー蒸留所が「地方経済の振興につながるのであれば」という条件付きで特例として許可が下り、114リットルのポットスティルで操業をしています。また、2005年にオープンしたアイラ島のキルホーマン蒸留所でも、エドラダワーと同程度の規模で蒸留を行っていますね。

エドラダワー蒸留所のユニークな点は、100年以上昔の古い型の麦汁冷却装置を現在でも使用していることです。この冷却装置はモートン式ワーツクーラーと呼ばれ、なんと1934年に製造されたもの。現在のワーツクーラーは水冷式が一般的になっていますが、このモートン式は外気で冷却する空冷式であるのが特徴です。スコットランドで、今日でもモートン式ワーツクーラーを使用している蒸留所はエドラダワーだけです。

エドラダワーは、2002年にボトラーズのシグナトリー社がペルノ・リカール社から買収しました。それとともにボトルやラベルは一新されましたが、スタンダードボトルはペルノ・リカール社の頃と同じ熟成年数の10年物がリリースされています。また2003年からバーレヒンという名のスモーキーバージョン(フェノール値はなんと50ppm)のモルトも生産しています。こちらは硫黄臭もあまり感じられず、正統派のスモーキーモルトに仕上がっています。

著者について: yipman 認証されたアイコン2
香港の中国武術家。詠春拳葉問派宗師。

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